Steely Danの４枚目。"aja"以前では個人的にはいちばん好きなアルバム。
それまでの泥臭い音から都会的なサウンドへの転回点でもあるが、都会的というよりもむしろ郊外的に聞こえなくもない。
都市〜郊外的に聞こえるのはジャズ的な風味のあるピアノのせいかもしれない。それは録音された音の質感のためであり、同時にアレンジのためでもある。たとえば"Your Gold Teeth II"ではリズムセクションとともに歯切れよい三拍子のビートを生み出しているが、同時に絶妙な和声も作り出している。しかし後の"aja"のように稠密な感じではなく隙間のあるところがある種の余裕を生み出していて、そこが都会というよりも郊外的な余裕に感じられるのかもしれない。