電子楽器に淫しているSonic Boom率いるSpectrumがそれまで使っていたエレクトリック・ギターを離れてアナログ・シンセサイザーだけで音世界を作り出した意欲作。といってもすべてが意欲作といえるので、なにも本作だけに限ったことではないが。ジャケットがいきなりEMS社のシンセサイザーVCS3の写真だったりするのだが、これもオリジナルのVCS3と比較すると改造が施してあることがわかったりしてかなり嬉しくなってしまうような代物だ。ちなみにVCS3というシンセサイザーには鍵盤はなくそのかわりたくさんのツマミやジョイスティックやパッチング・マトリックスがあって、これらによってかなり変な音を作ることができる。シンセ・ジャンキー垂涎の逸品でもある。
で、内容はといえば、ビヨヨヨヨ〜〜〜〜ン、ウニョウニョウニョウニョ〜〜〜ン、という電子音にSonic Boomのボソボソ系ボイスが乗っかるというもので、ツボにはまるとこれほど気持ちよいものはない、という感じだ。楽曲的には単純なフレーズの反復、ということもいえるだろう。このあたりではっきり好みが別れる音楽かもしれない。