インディースでインの長い活動を続けている（断続的に、ではあるが）さかなの1stアルバム。バンドが活動を開始したのはさらにこれよりも数年遡るが、バンドの顔であるヴォーカルのポコペンとギターの西脇一弘、それから今では脱退してしまったがドラムスの林山人の三人の編成となったのはこの少し前のことである。
すでにこのすでにでさかな独特の世界が確立しているといってもよいだろう。ポコペンの摩訶不思議な歌詞とヴォーカル、それに少し距離を置いたかのような西脇と林の演奏が、なんともいえないバランスを保って（ある意味ではアンバランス、なのかもしれない）いるあたりがなんともいえずチャーミングである。
今になってさかなを聴くことになるとは思わなかった。『マッチを擦る』（確かファーストアルバムだったと思うけど）は、ほんと、何度聴いたことだろう。９０年代の初め頃まで追跡していたのだが、いつのまにか忘れてしまっていた。ヴォーカルのポコペンがカメラというユニットで活動していた頃、一度新聞に載ったのを見かけたことがあったけど、そのときはそれだけでおしまい。
で、少し前から楽器関係の雑誌を買っているのだが、そのアルバム評で新作を出したことを知ったのだった。でもなぜか新作ではなく、そのひとつ前の本作を買ってしまった。
すばらしい。
ポコペンの歌は、以前にも増して、魅力的だ。声は以前よりも深みを増して、吸い込まれるようだ。
でも、以前の独特の可愛さも好きだったので、気持ちはやや複雑だ。
新作も聴いてみないと。