performing arts, films & movies 200005
ほんとは別の映画を見に行ったのだ。ところがすでにその映画は終わっていて、たまたま上映していたのがこの映画だったのだ。たまたま、というのはこの映画はたった二日間しか上映していなかったからだ。だからもう見られません。
台湾の田舎の不良少年が仲間と一緒に家を出て高雄で生活する青春映画。暴力あり、淡い恋あり、友情あり、という感じで、しかも家を出る動機に廃人となってしまった父親の存在が関わってくる。父親は野球好きで試合中に頭にデッドボールを受けて頭蓋陥没、一日中椅子に座っているだけの人になってしまう。
高雄に出てしばらくしてからその父親が死ぬ。高雄で部屋を借りている友人の恋人と一緒に帰郷した少年は、何もかもが変わってしまった家族を見出し、結局また高雄へと帰っていく。
その友人の恋人ともうまく行きそうになるのだが、結局はそうならない。
ずっと昔に見た『ラスト・ショー』をちょっと思い出した。少年の成長と変わってしまう故郷、みたいな。
私が見に行ったのは初日で、最初少し上滑りみたいに感じたのだけど、一緒に見に行った人たちも、うまくかみ合っていなかったと言っていた。でもすごくよかった。箱に入れて愛でていたいような、そんな感じ。
唐十郎の脚本というのは雑誌で読んだことがあるのだけど、それが舞台で展開されているのを見るのはそれだけでなかなか嬉しい体験だった。身を持ってまじめモードとおちゃらけモードの落差を感じることができてしあわせ、みたいな。
どうでもいいことだけど、私の小説脳はかなり刺激されたのだった。
でもたぶん舞台でいままで見た中でいちばん可愛いというか魅力的だった女優さんというのは間違いなく緑魔子さんで、それだけでも嬉しいっていうか。
第七病棟は四年に一度しか公演しないそうなので、四年後をじりじりしながら待つことにします。