ああ、すっかりご無沙汰である。たぶん一週間ぶりくらいだと思う。何をしていたかといえば、とにかく、何でもかんでもハマりまくっていたのである。
ちょうど一週間前、父親の七回忌と母親の一周忌を兼ねた法事をしたのだが、それはまあまあうまくいった。でもそのあとがよくない。
まず、ハードディスクを大容量のものに変えようとして、以前のディスクの中身をだめにしてしまった。スキャンディスクをかけると、無限にエラーが湧き出てくるのだ。
それで、以前の環境のそのままの移行をあきらめ、新しいハードディスクに新しい環境を構築しはじめたのだが、どういうわけかＤＯＳのインストールディスクがクラッシュしていて、でもまあなんとかｗｉｎ環境を立ち上げたのだった。しかし、三月下旬の多忙と不摂生にその作業による疲労と、天候の急変により高熱を発してダウン。＊＊さんの書かれたようにして部屋の中を捜したのだが、朦朧とした意識では所詮無理なことだった。とにかく、電話に出る気力すらなかったのだった。でもあまりに苦しかったので病院に出かけていったら、医者は「風邪ですね。お薬出しときます」で終わり。このやろ、とか思ったけど、たぶん医者の行ったことが正しいのだ。なにしろ私はといえば病院の壁に取り付けられた大きな鏡に突進していくほど意識が混濁していたのだ。
ところがところがそれで終わりではない。今度はこれまでに体験したことのないほどの下痢に襲われはじめた。出るものがなくても出るのである（お食事中の皆様、ごめんなさい）。同時にたいへん喉が渇く。まあ、大腸が機能を失っているらしいから当然といえば当然だ。
下痢の原因はよく分からないのだが、素人考えでは処方してもらった抗生物質がききすぎたからではないかと疑っている。以前、家族に同じような症状が出た者があるのだ。
で、今日はほとんど何も食べていない。朝食はオレンジジュース一本、昼食は失敗葛湯少々（どうやって作ればいいのか忘れてしまったのだ）。とにかく、食べる気がしないのだからしょうがない。でも、お腹が空くことは空くのだ。
実はほかにもまだまだハマってしまったことがあるのだが、公共の場であるのでやめておく。にしても、一週間でこれほどハマるというのは、私にしても珍しいことである。
明日はまた病院行きだろうか。
体調は相変わらずである。熱が出ているときとは違い、横になっていればよいというものでもない。それに、横になってばかりいると腰が痛くなる。これはあるいは寝具の老朽化にともなうものかもしれないので、近いうちに検討する必要があるかもしれない。
そういえば一昨日の晩、金縛りに遭う夢を見た。実際に金縛りに遭ったわけではないと思う。寝返りを打ちたいのだが、どうしても打つことができないのだ。その理由は誰ぞの生霊が私のからだを押さえ付けているからなのだった。だから目が覚めたときに一番最初にしたことは寝返りを打つことだった。そして寝返りを打てることを確認して非常にほっとした。ただ目覚めの感触として、うなされて声を出していたような気がして、それがちょっと嫌だった。
で、どうしようもなくトイレが近いので今日はずっと家にいた。医者にも行かなかった。医者にはちょっとした不信感を持ってしまったようだ。まあ、よくあることなのだけど（ほかの医者はちょっと遠いのだ）。
とにかく、じっとしていると調子はまあまあなのだ。そこで、懸案のウィムジイ卿との親交を暖めることにした。とはいえ、実のところ昨日からそうしていたのだった。
いちばん悔やまれたのは、朦朧とした頭で読んでしまったことだ。とはいっても、普段から朦朧としているのでたいした違いはないかもしれないのだが。内容についてはネタバレの恐怖があるので触れることはできないが（先人に習うということだ）、非常な感銘を受けたと記しておこう。
さて、枝葉の部分なのだが、マフィンとか、ベーコンエッグとか、あるいはビターとか、そういうのを見ると、体調が最悪で食欲もないというのに、食べたい、飲みたい、と思ってしまうのである。私は美食家でも健啖家でもないが、ある種の小説に登場する食べ物などに敏感に反応してしまうのだ（つまり、しない場合もたくさんある）。そして今回はちょうどツボにはまってしまったようだ。そしてそれは必ずしも体調とは関係がないらしい。
今晩は今ごろの季節としてそんなに冷えているとは思えないが、ろくに食べていないせいか肌寒く感じる。というわけでファンヒーターを付けているのだが、本当はそういう無粋なものではなくて一杯のホット･トディが欲しい。ホット･トディとは、砂糖入りのウイスキーのお湯割のようなものらしい。これを最初に見付けたのは英国女流推理小説ファンだった母親だった。でも母親が飲んでいたのは砂糖入りのお湯にウイスキーを数滴垂らしたようなものだった。私もそれを飲んだことがあるのだが、体の中心から暖まるような素敵な飲み物だった。
「ナイン･テイラーズ」にホット･トディが登場したとき、私はそういったことをいろいろ思い出した。そして読み終わって本を閉じてから、これを母親に読ませてやりたかったとしみじみ感じたのだった。ホット･トディでも飲みながら、ピーター･ウィムジー卿の活躍についてあれこれ語るなんていうのも、悪くなかったかもしれないと思うのだ。