あるいはもう少し計画的に、書かれた順とかその逆とか、そんなふうに読んだ方がいいのかもしれないけど、気が付いたときに買って、気が向いたときに読む、ということをしているとどうしてもこういうことになってしまう。

　ネタバレするかもしれないのではっきりとは書けないが（というか確実にネタバレするので）、多分人類の多くを絶望に追いやるかもしれない設定が登場するのだけど、でもここで書かれているように、そういうことで絶望しては決していけないのだろうと思うのだ。

　何書いてるかさっぱりわかりませんね。でもなんていうか素晴らしい。

　しかし「スローターハウス５」のアイディアはここから繋がっていたのですね。

　大原まり子のエロティックな短篇集。最初の二つの作品ではオトコが性的に支配されているので、ある種のオトコたちから見たら辛いのかもしれない。って書くと政治的意図が濃厚みたいだけど、むしろもっと素直にエロティシズムを追求したというか。

　というようなところから、ある種の妄想の世界へと突っ走っていく。

　横溝正史生誕百年記念ということでカバーが新しくなったけど、初出などの情報がまるでないところは変わらない。その辺の情報はやっぱり欲しいのだけどなあ。何とかして欲しい。

　で、作品そのものはほんとうに素晴らしいのだけど、それはつまり古典、ということなのだろう。ある種の設定のパターンみたいなものは（謎解きみたいな部分じゃなくてどういう状況でどういう人たちが出てくる、といったような）このくらいの時代にひととおり作られたのかもしれない。

　作品そのものについてはネタバレしそうで何にもいえないけど、舞台は伊豆半島の小島、やっぱり没落した旧家で、美しい娘をめぐって凄惨な事件が起きる、というもの。