時間が経って感想を書くのでとても短い物になるのだけど（以下いくつかも同様）、どうしてこの本を買ったのだったっけ？近所の書店で猫本フェアとかいうのをやっていたからのような気もするし。
で、吉本家の猫とか、猫の習性とかについて吉本隆明へのインタビュー、によって語られているのだけど、死ぬ前にどこかへ行ってしまわないで、人に看取られて死んだ猫の話は興味深かった。
そういえばちょうどこれを読んでいたときに猫好きの人と話をしたりしたのだっけ。
そもそもここで取り上げられているパロディのもとになっている文章の大半を知らなかったし、それに翻訳でもあるしでそれなりに辛い物はあったのだけど、面白かった。「いいなづけ」などは、あとで須賀敦子の本を読んで知ったのだけど、彼の国では誰でも知っている小説なのだそうだ。
とりあえず、元ネタ「ロリータ」のは、かなり笑えた。
川上弘美は読んでいてすごく好きで、あとあとまでしっとりと残るんだけど、すごく好きなのかといわれるとよくわからないところもあるけど、やっぱり好きかもしれない。
表題作は、かなりよくて、「物語が、始まる」の意味がわかったところで思わず泣けてしまった。
あと、手元に本がないのでタイトルがわからないのだけど（引っ越しして適当に本棚に突っ込んでしまったため）、中年の二人の姉妹の話がいちばん好きだった。いったいどこへ雲隠れしたのか、この本は。
大昔に買って、小難しいことが書いてあると思ってそのままになっていたのだけど、処分しようかと思って読んだら、結構面白かった。笑えた。村上龍ってなんてかわいいの！読んでて抱きしめたくなっちゃった。柄谷行人にさんざんコケにされるところが秀逸。
にしても、今では受け入れられないくらいマッチョだね、二人とも。
いつ買ったのか覚えてない本。いまいち。いいたいことはよくわかるのだけどね。
ずっと以前に本書に収録されている「少女架刑」のことを人に聞いて、すぐに手に入れたのだがなぜかずっとそのまま読まずにいた（そういうことは少なからずあるが）。
ところが先日友人たちと話をしていたとき「少女架刑」のことが話題になり、やっと手にとって読み始めたのだ。
「少女架刑」は死んだ少女が自らの解剖される様子と、その後納骨堂に収められるまでの経緯を語ったものだ。
それに対して「透明標本」は美しい人骨標本を作ることを夢見る老人体解剖技師の話で、「少女架刑」に出てくる人物の一人とほぼ対応している。途中からなんとなく察しは付くのだが、自分のことを嫌っていたらしい義理の娘を、そういう感情とはまったく別な所で標本にしてしまおうとする老人に、なんともいえない憧憬を感じてしまう。そういうことをしてしまうというのは、それ以外のすべてを失うということだから。でも老人がそうやって失うものは妻くらいのもので、周囲の人間がさらに老人のことを薄気味悪く思うようになったり、あるいは嫌悪するようになることなんて、ほとんどどうでもいいことなのかもしれない。
「星への旅」では何もする気力のなくなってしまった若者たちが仲間たちの一人が「死んじゃおうか」と言ったことから実際に死に向かおうとし、実際に死んでしまう。主人公の心のうち、というのは今風に言えば神経症とかそういうことになって、ケミカルに処理されてしまうようなことでないか、という気がする。そういえば登場人物の一人は阿片に耽溺したいと願っているのである。
（途中）
追記：まあ、これ以上書き加えることもないか。
伯父の葬儀に向かう新幹線の中で読み始めた。ある種高揚した気分の中で読んだせいもあるけど、すごい、と思った。本を読む喜びを噛みしめた。
このあといくつか須賀敦子の本を読んで、どれも素晴らしいのだけど、最初に読んだこの本の衝撃は、決して薄れないのだった。
ずっと前から友人に勧められていて、でもなかなか見つからなくて、やっと手に入れた本。
この世から言葉がひとつずつ消えていく、たとえば「あ」という文字が消えたら「あ」を含む言葉は姿を消す、というように。
タイトルは、主人公の娘が言葉が消えてしまったことで消滅したときに、その残像に口紅を、というところから付けられている。こういうのには弱いのだよなあ。
で、いちばんの圧巻は最後の、ほとんど言葉が消えてしまった世界のあたり。どんなに絶賛しても足りないくらい素晴らしい。これが文学でも小説でもないという人がいるなら、文学も小説も消えてなくなれと思う。
母親が最晩年に読みたいといっていた本。結局読まずじまいで、手持ちぶさただったときに読み始めて、結局一気に読んでしまった。
競馬のことは日本だろうとイギリスだろうとぜんぜん知らないけど、面白く読めた。でもなぜか柔道とかが一種のトリックに使われていたのが変におかしかった。