books200005
読み終わってから時間が経ってしまったので印象だけ。
ラーゲリでの生活を書きながら、「告発する」的文章ではなくて、どこにでもある日常、見たいな書き方をしているところがよい。「よい」なんて書くと怒られそうだけど。
とんでもない生活を送っているはずなのにシューホフがほとんど幸福そうに見えたり、必要最小限のカロリーさえ保証されていなさそうな食事がひどく美味しそうに感じられたり。労働だって、ほとんど楽しそうにみえる。
私たちの暮しもこんな感じなのかな？
友人から、「１４歳の殺人」ということで薦められた本。なるほど、である。殺されようとしている男はほとんど自らの殺人に対する共犯者のようだ。その瞬間には婚約している女を裏切ってさえいる。
にしても、このあとどうなっちまうんだよ。いつも貧乏籤を引くのは女ってことか？
恐ろしいことに、ここに書かれている世界と私たちの世界は地続きだ。お金を貯める制度とか、そうしようと思えばある程度の生活をすることもできなくはないとか。でも一度ドロップアウトしてしまえば、それはほとんど困難であることとか。
もちろん小説としてこんなに面白いものはなくて、主人公が酒に溺れて行くプロセスなんて頷ける人も多いのではないか、なんていらんことを考えてしまったりもするのだった。